
私が生まれて始めて経験する病気らしい病気です。
とはいっても、たかが虫垂炎、もっと重大な病で苦労されている方から見れば、馬鹿にするなと言われてしまいます。
ですので、闘病日記などと言っても、少しも重苦しくなく軽いものです。
もちろん、今、より重大な病に悩まれている方の励ましになるようなものではありません。このような経験をして、自分の健康に改めて感謝することとなったのでした。
1月11日(土)午後2時頃、胃が気持ち悪くなる。夕食の直前、右下腹がよじれるように痛む。
風邪薬、栄養剤、胃腸薬を飲んで寝た。
1月12日(日)右下腹の痛みは残っているが、楽になった。一日寝ていた。
1月13日(月)朝はだいぶ楽になり、今日中に治るなと思っていると、11時頃急激に痛み出し耐えられなくなる。
とても自分で車を運転できる状態ではない。
タクシーで島田市民病院の救急外来に行き、診断をしてもらう。ちょっと触診しただけで、すぐ虫垂炎と言われる。
なぜもっと早く来なかったとまず言われましたが、自分では分からなかったのですから…。
時間外外来に移動し詳しく検査、虫垂炎と腹膜炎を併発と診断される。そのまま即手術、入院となってしまった。
私の手術室のイメージは、ベン・ケーシーとか白い巨塔とかいうテレビドラマのシーンで、一人の人間が生と死をさまよい、それを多くの医師が必死で治療するという重苦しい雰囲気なのですが…。
手術室にある機器や道具はもちろん私のイメージとさほど違いませんでしたが、そこに流れる空気は拍子抜けするものでした。
柔らかなBGMが流れ、高級ホテルのロビーの雰囲気です。そこで二人の医師と二人の看護婦が私に話しかけながら、ほとんど日常の世間話をしながら実に軽快に作業を進めていきます。それでも私は始めての経験です。怖くて怖くて目を開けていることができません。さらにだんだん麻酔が効いてくると、手足がしびれ、呼吸も苦しいほどではないのですが変な感じになります。さらに寒気がして、両腕が寒気のためか、恐怖感のためか時々震えるというか、痙攣をするのです。部分麻酔ですので、そのような自分の状態がよく分かり、とにかくこんな怖い思いをしたことはありませんでした。
もう一つ思っていたのと違ったことは、手術というのは、大変細かな繊細な作業だと思っていたのですが、非常に大胆な作業のように感じました。もちろんそれは正確な技術と経験に裏付けされたものなのでしょうが…。
手術は、右下腹を10cmほど切り(腹膜炎を併発していたので虫垂炎の手術としては大きく切ったそうです。)、虫垂を取り去り、腸についた虫垂のかすを何度も洗浄し、吸い取り、そして後から化膿した液などが出てきたとき、それを体外に出すためのチューブを埋め込み、切り口を塞ぎ、1時間ほどで終了しました。そして、そのまま病室へ運ばれました。
その夜は身動きができません。点滴をしている関係で、何度も小便がしたくなります。布団の中でしびんにするのですが、これが本当に気持ち悪いのです。
「寝ている・布団を掛けている・目をつぶっている」、この3つが揃っていると自分の意志で用を足しているという気がしないのです。
そこで二回目からは、ベットを少し立ててもらい、布団はどけて、しっかりと見ながら用を足しました。これは、随分気持ちがよかったです。
何回も切り口の痛さと尿意で目が覚めましたが、思っていたより落ち着いて眠ることができました。
1月14日(火)今日から歩かなくてはいけないと言われた。ちょっと何かするにも腹筋が痛い。
座薬を入れると痛さはなくなり、楽になった。昼から食事、まずは重湯から。同じ姿勢でいるより歩いているのが一番楽なようだ。
1月15日(水)タバコを吸ったら臭いですぐ分かってしまい、看護婦さんに叱られた。
食事は軽粥へ。
1月16日(木)今日は座薬をしないで頑張ってみた。やはり座薬がないと大変な痛さだ。食事は中粥へ。
職場からパソコンを持ってきてもらい、何と仕事をした。こんな私でもいないと困るらしい。ありがたいことだ。
1月17日(金)朝食後、快便。食事は全粥へ。主治医の一ノ瀬先生が、今日あたりから目に見えて楽になっていくと言って下さいました。
向かいのコンビニに寝間着のまま行って買い物、牧田君に電話した。
1月18日(土)朝食後、快便。だいぶお腹のリズムが出てきた。今日から普通食。チューブを一本抜いた。これは思っていたより痛くなかった。
傷口の痛さは相変わらず。だんだん痛みが和らいでくると思っていたのだが、そうではないらしい。
痛くなってしまえば、その痛さは手術直後と同じ。
では何が違ってきたかというと、激痛になる前にできることが増えたことだ。
できるようになったこと
・軽い咳払い。
・鼻をかむ。
・トイレに行って、お尻の穴を右手で持ったティッシュで拭くこと。
・歩く速さが速くなる。
・ベットから速く起き上がること。
・腰を曲げて床の物を拾うこと。
・椅子に深く腰掛けること。
酒井君と牧田君がお見舞いに来てくれた。これで三人とも一回ずつの入院だ。
1月19日(日)傷口の痛さもさらに楽になった。ベットで寝たり、起きたりが楽になったのはうれしい。
暇だ〜。本も読んでしまった。タバコ吸いたい。酒〜ほしい。食事だけが楽しみだ。病院の食事は思いによらず、とてもおいしい。
私にとっては、味が濃すぎるくらいだ。(我が家の食事はよほど薄味なのだろう。)
夕方、テレビで笑点を観た。林家喜久蔵の天然ボケに本当に危ないくらいお腹の皮が痛かった。
1月20日(月)傷口の痛さがだいぶ薄らいできた(とはいってもまだとても痛い。)ので、昨日ベッドを平にして寝たら、今朝腰(背骨)がとても痛い。
寝返りができないからだと思う。今日の朝食も美味しかったけど、ちょっと物足りなくなってきた。
残りのチューブと抜糸を半分した。隣組の人達や職場の方が、お見舞いに来てくれた。
1月21日(火)残りの糸も抜いた。腹帯もとれ、ほんの少しの絆創膏だけになった。
胴回りのかさばりがなくなったので、寝間着からトレーニングパンツに換えた。
午後、主治医の一ノ瀬先生が来てくれ、明日退院していいと言ってくれた。
夕方、職場のみんながお見舞いに来てくれた。
忙しい時に迷惑を掛けてしまったという気持ちでいっぱいだ。
1月22日(水)入院してから、昨日の夜が一番よく眠れた。
まだ、せきや鼻をかむと痛むのだが、体を起こしたり、ひねったりするのには、ほとんど困らないようになった。
いよいよ今日は退院だ。
隣のペットの青島じいさんいわく、
「山本さんはいい子にしてたから」
だそうです。